高木仁三郎市民科学基金
第22期(2023年度)国内枠調査研究助成
書類選考通過者の調査研究計画概要(受付番号順)
第22期(2023年度)国内枠調査研究助成
書類選考通過者の調査研究計画概要(受付番号順)
(下記は、それぞれの応募者の助成申込書から概要のみを転載したものです。)
応募者名 | 古賀 勇人さん | 応募金額 | 40万円 |
テ ー マ | コミュニティが主体となるエネルギー管理の概念化をめぐる研究 | ||
概 要 |
市民風車など、コミュニティが主体となるエネルギー管理(Community-based energy governance;以降CEG)は、エネルギーシステムを分権的で民主的なものにすると想定される。一方で、現実のCEGにおいては、そうした変革的理念が必ずしも実現するとは限らず、経済的格差やジェンダー問題などの既存のエネルギーシステムの問題点を再生産するCEGも存在することが指摘されている。特に、CEGを促進する政策の下で、現実のCEGがどのような様相を呈するのか、変革的なCEGはいかにして変革的でありえるのか、を分析する必要がある。 |
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】
応募者名 | 山室 真澄さん | 応募金額 | 100万円 |
テ ー マ | 水道水から摂取するネオニコチノイドが総摂取量に与える影響 | ||
概 要 |
日本では水道水源となっている河川や湖沼などに、水田に散布された農薬が混入している。ネオニコチノイド系殺虫剤(以下、ネオニコ)の1種であるジノテフランの日本の水道水の基準値は600,000ng/Lだが、予防原則をとるEUでは個々の農薬の濃度は100ng/Lを超えてはならず、全農薬の合計濃度は500ng/Lを超えてはならない。EUと比べて基準値が桁違いに高い日本では、過去には基準値未満の除草剤が癌を引き起こしていた。 |
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】
応募者名 | 日野 行介さん | 応募金額 | 50万円 |
テ ー マ | 策定プロセスの公文書開示による原発避難計画の実態解明 | ||
概 要 |
東京電力福島原発事故の反省から原発30キロ圏内の自治体に避難計画の策定が求められることになった。1か所あたりの対象人口は数十万人に上り、計画の実効性の有無には国民・住民から高い関心が寄せられているが、避難計画は安全審査の対象外で、策定の基礎資料さえ公表されておらず、外部からの検証が困難な状態になっている。 |
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】
応募者名 | ランポー二・キアラさん | 応募金額 | 58万円 |
テ ー マ | 福島原発事故と関連があると思われている児童の甲状腺がん事例にめぐる論争 | ||
概 要 |
本研究のテーマは、2011年の福島原発事故後、福島県が同年10月から地元の医科大学を通じて実施したがん検診の結果、小児甲状腺がんが発生した事例をめぐって生まれた医学論争である。 |
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】
応募者名 | 西舘 崇さん | 応募金額 | 45万円 |
テ ー マ |
使用済核燃料の中間貯蔵施を巡るむつ市政20年の展開と住民運動についての研究(2) ~核燃税の導入と下北地域の新たな動向に注目して | ||
概 要 |
本研究は、使用済核燃料の中間貯蔵施設を巡る青森県むつ市政のあり方を住民側の立場から検討するものである。対象とする期間は、同施設の受け入れが表面化した2000年から現在までのおよそ20年間とするが、申請2年目となる今期では、前年度(第21期)の調査結果を踏まえ、特にむつ市における核燃税の導入過程と、周辺自治体の新たな動向に注目して検討を行う。 |
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】
グループ名 代表者名 |
もんべつ海の学校 村井 克詞さん |
応募金額 | 100万円 |
テ ー マ | 紋別港における藻場分布と生物の蝟集状況調査 | ||
概 要 |
[目的] 紋別港周辺の藻場分布およびその周辺に蝟集する魚類の状況を把握すること |
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】
グループ名 代表者名 |
子どもたちに核のゴミのない寿都を!町民の会
南波 久さん |
応募金額 | 100万円 |
テ ー マ | 小さな町に起った大きな課題を、道内・道外の議論としていくために | ||
概 要 |
2020年8月13日の北海道新聞第一面において、寿都町の片岡春雄町長が高レベル放射性廃棄物最終処分場の文献調査への応募を考えていると報じられた。その報道によると、国から核のゴミの深地層処分方法とその進め方について説明を受け、第一段階の文献調査応募で最大20億円、第二段階の概要調査の受け入れで70億円、合計90億円の交付金を受けられるので、町財政の将来を見据えて応募する考えだという、驚くべき内容であった。その後、2020年9月3日の鈴木直道北海道知事との会談においては、道の「核抜き条例」に反すると主張する鈴木知事に対して、町長は最終段階の精密調査まで進めたいとの意向を表明し、会談は平行線で終わった。 |
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】
グループ名 代表者名 |
木質バイオマス発電チェック市民会議
川端 眞由美さん |
応募金額 | 20万円 |
テ ー マ | リネン検査の継続で燃料材のトレーサビリティーを問う | ||
概 要 |
市民は、東御市が誘致した清水建設㈱の子会社・信州ウッドパワー(株)の木質バイオマス発電所の環境汚染を監視するため、2019年11月以来毎年夏冬年2回のリネン吸着法検査を実施してきた。 |
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】
応募者名 | 平 春来里さん | 応募金額 | 36万円 |
テ ー マ | 風力発電施設に関する共同事実確認実施に向けた騒音と景観に関する住民実態調査 | ||
概 要 |
【調査の目的】 |
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】
グループ名 代表者名 |
比留間運送伊奈平産廃処理工場調査団
佐藤 健朗さん |
応募金額 | 100万円 |
テ ー マ | 産業廃棄物処理工場から排出される有害物質による地域住民への健康リスク | ||
概 要 |
廃プラスチック類をはじめ木くずや紙くず、ゴムくずなどの産業廃棄物及び一般廃棄物の破砕や焼却などの中間処理を行っている廃棄物処理工場から排出されていると思われる有害物質によって、隣接する事業所及び周辺民家の居住環境が汚染され、健康被害の発生が見られることから、その汚染の実態把握と健康被害発生の原因と将来的な健康に及ぼすリスクについて把握することを目的として調査を行う。
|
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】
グループ名 代表者名 |
沖縄京都PFAS研究グループ
徳田 安春さん |
応募金額 | 40万円 |
テ ー マ | 沖縄県におけるPFAS曝露と腎癌・精巣癌の関連性 | ||
概 要 |
PFOS、PFOA、PFNAなどのPerfluoroalkyl substances (PFAS)への曝露と発癌性との関連性を示す研究はいくつかある。PFAS曝露は日本人においてすでに広がっているが、血中PFAS濃度と発癌性の関連について日本人を対象にした研究はまだない。PFASは地域住民の生活にとって重要な飲料水に含まれる残留性環境汚染物質であり、健康影響を調べることは大切である。中でも、悪性腫瘍の発生数は近年増加しており、この物質の関与を調査することで、曝露を減らすなどの予防対策をとる必要性が明らかになる。今回の研究は、症例対照研究を行い、外来受診時に得られた採血検体を用いて、腎癌と精巣癌の患者の血中PFAS濃度の測定を行う。データ解析については、多変量ロジスティック回帰モデル分析を行い、交絡因子を調整した上で、PFAS血中濃度と癌の既往との関連を解析する。PFAS血中濃度と発癌性との関連を認めた際には、PFAS曝露を最小限にするための政策介入を行うよう自治体や政府等へ働きかけを行うエビデンスとして研究結果を活用する。
|
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】
応募者名 | 原田 浩二さん | 応募金額 | 45万円 |
テ ー マ | 市民によるPFAS調査のための化学分析基盤の構築 | ||
概 要 |
フッ素原子を含む有機化合物のうち、難分解性を示すフッ素化アルキル化合物PFASによる環境汚染、ヒト曝露について近年、注目が高まっている。泡消火剤の使用があった在日米軍基地、自衛隊、空港周辺地域、またフッ素樹脂製造工場の近隣で地下水汚染を引き起こし、その結果、飲料水や農作物の汚染から地域住民の人体へ蓄積が見られており、健康リスクが示唆される濃度で検出されている。沖縄県、東京都多摩地域、大阪府摂津市が代表的な事例となる。しかしながら、まだ上記の地域においてしか血液検査などは実施されていない。PFASは全国的に使用されてきており、汚染の実態が明らかにされていない地域が数多く残されている。 |
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】
グループ名 代表者名 |
原発報道・検証室裁判文書・政府事故調文書アーカイブプロジェクト 添田 孝史さん |
応募金額 | 30万円 |
テ ー マ | 東電原発事故の政府事故調が未公開にしている文書から重要な情報を開示させる | ||
概 要 |
東京電力が引き起こした福島第一原発事故について、政府の事故調査委員会は膨大な資料を集めたが、ほとんど公開されていない。2018年以降、事故をめぐる裁判の中で、検察側は東電や国の責任に関連した数多くの証拠を初めて公開した。その過程で、政府事故調が収集していたのに報告書に記載せず、闇に葬ろうとしていた資料があることがわかった。事故の原因を探り、さらに事故調の検証が正しかったのか、政府がまだ隠していることはないのかを確かめるために、政府事故調の文書を開示させ、読み解くことが必要とされている。隠された事実を新たに見つけることができれば、原因究明だけでなく、事故調査の欺瞞をより明確にできる。 |
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】
グループ名 代表者名 |
みんなのデータサイト 藤田 康元さん |
応募金額 | 50万円 |
テ ー マ | 実践・市民放射能測定室の作り方 ~市民が培った確かな測定技術の継承を目指して~ | ||
概 要 |
福島原発事故の後、市民による空間線量測定がすぐに始まった。引き続いて、食品や住環境の汚染の実態を知るため、様々なバックグラウンドを持つ人々が集まり、放射能測定に必要な機器の選定調達・測定技術の習得を経て、日本全国で市民測定室が立ち上がった。放射能測定の対象が公的測定マニュアルに記載のない身の周りのあらゆるものに及んだため、試料調整・測定方法を工夫し正確な測定結果を得るため試行錯誤を経てノウハウを蓄積する必要があった。この貴重な測定室立ち上げと測定のノウハウは、市民が広く共有できるものとしてまとめられていない。特に市民が培った確かな測定技術の継承は市民測定室の活動の維持・向上を図る上で重要であるだけでなく、次の重大事故に際して市民が迅速に測定体制を立ち上げるためにも不可欠である。以前より、測定室の作り方を教えて欲しいという海外からの要望も来ている。本調査研究はこの課題に応えるものであり、市民科学としての重要性は明らかだと言える。本調査研究では、市民測定室を対象に、立ち上げ時から現在までの諸課題について尋ねる質問票調査とインタビュー調査を行い総合的に実情を分析する。この分析を踏まえ、測定技術のノウハウを網羅した測定ガイドをまとめる。
|
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】
グループ名 代表者名 |
外環振動・低周波音調査会 上田 昌文さん |
応募金額 | 50万円 |
テ ー マ | 外環道大深度工事で発生した振動・騒音・低周波音による被害の実態把握とそれへの対策に関する調査 | ||
概 要 |
2020年10月18日に調布市で起こった東京外環道トンネル工事に伴う陥没事故を機に、周辺地域では被害と補償をめぐって、さらにはトンネル工事の継続や地盤改良工事の実施の可否やそのリスクをめぐって、事業者(国土交通省、NEXCO東日本、NEXCO中日本)が、これまでに住民が納得できる調査や情報提供を行ってこなかったことからくる様々な問題が噴出している。2021年及び2022年の高木基金の助成を受けて、市民科学研究室が被害者住民らと共同で「外環振動・低周波音調査会」を立ち上げ、地盤・地質、振動・騒音、そして環境センシングの分野の専門家の協力を取り付けつつ、振動・低周波音による健康被害(2021年12月11日に報告会)ならびに建物損壊(2022年7月に第一次、2023年5月に第二次報告会)の実態調査を実施した。これらと並行して、地下工事から発生する振動を常時モニタリングする必要を痛感し、簡易な振動計(既存の振動加速度センサーのアプリケーションを改良して中古iPhoneに装備したもの)を用いてデータを自動記録するシステムを開発し、シールドマシンによる掘進が進行・再開されているエリア(外環道の練馬、三鷹、世田谷エリア、横浜環状南線エリア、リニア中央新幹線エリア)で計測を続けている。今後は、調布エリアで2023年夏から長期にわたって行われるだろう地盤改良工事、ならびに、上記各エリアでの地下掘進での、振動・騒音・低周波音に起因する種々の被害を、各エリアの住民と連携しつつ未然に防ぐことが主たる目標となる。その一環として、これまで2年間に蓄積した地盤や工法やモニタリングなどに関する知見と本調査で示した市民科学的手法を、広く全国の住民に提供するために、「シールドマシン地下工事 リスク情報サイト」を構築する。 |
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】
グループ名 代表者名 |
太平洋核被災支援センター 濵田 郁夫さん |
応募金額 | 50万円 |
テ ー マ | 太平洋核実験被災の青少年向け学習資料について調査・研究し、青少年参加の学習活動を支援する。 | ||
概 要 |
太平洋水爆実験による被災の実態解明にこれまで取り組んできた。核兵器禁止条約批准を視野に入れ、太平洋核実験被災の青少年向け学習資料の調査・研究が求められている。 |
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】
グループ名 代表者名 |
清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会 木本 雅己さん |
応募金額 | 100万円 |
テ ー マ |
気候危機時代の豪雨に対応しうる川づくり・流域社会づくりに向けた基礎的研究 ―球磨川豪雨災害調査の「中間報告」説明会を通じて― | ||
概 要 |
本研究では、2020年7月4日球磨川流域豪雨災害における被害拡大要因とメカニズムの実態解明について、これまで申請者らが取り組んできた人吉市を中心とした現地調査の成果を“中間報告”と位置づけ、地区別説明会を実施し議論の場をつくることを通じて、より深い実態解明へと発展させることを試みる。くわえて、球磨村・芦北町・旧坂本村の中流域の被災者らとの交流会の中で“中間報告”を共有し、より広域で見た際の川づくり・流域社会づくりに不可欠な視点を析出する。 |
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】
グループ名 代表者名 |
遺伝子組換え食品を考える中部の会 河田 昌東さん |
応募金額 | 50万円 |
テ ー マ | 運送路沿道におけるこぼれ落ち遺伝子組み換えナタネの実態調査 | ||
概 要 |
本調査・研究では、輸入ナタネの運搬経路である国道23号沿道(三重県四日市市-松阪市)における遺伝子組み換え(GM)ナタネおよび、GMナタネとの交雑が懸念されているアブラナ科雑草(イヌカキネガラシ・ハタザオガラシなど)の自生状況を定期的に調査し、なるべく多くの検体を検査することによって自生ナタネの分布状況・GM率等を把握する。 |
【公開プレゼン開催概要へもどる】 / 【書類選考通過者一覧へもどる】