
![]() |
みんなのデータサイト | |
![]() |
藤田 康元 さん | |
![]() |
http://minnanods.net/ | |
![]() |
50万円 |
2024年5月の助成申込書から
福島原発事故の後、市民による空間線量測定がすぐに始まりました。引き続いて、食品や住環境の汚染の実態を知るため、様々なバックグラウンドを持つ人々が集まり、放射能測定に必要な機器の選定調達・測定技術の習得を経て、日本全国で市民測定室が立ち上がりました。放射能測定の対象が公的測定マニュアルに記載のない身の周りのあらゆるものに及んだため、試料調整・測定方法を工夫し正確な測定結果を得るため試行錯誤を経てノウハウを蓄積する必要がありました。この貴重な測定室立ち上げと測定のノウハウは、市民が広く共有できるものとしてまとめられていません。特に市民が培った確かな測定技術の継承は市民測定室の活動の維持・向上を図る上で重要であるだけでなく、次の重大事故に際して市民が迅速に測定体制を立ち上げるためにも不可欠です。以前より、測定室の作り方を教えて欲しいという海外からの要望も来ています。本調査研究はこの課題に応えるものであり、市民科学としての重要性は明らかだと言えます。本調査研究の一年目には、市民測定室を対象に立ち上げ時から現在までの諸課題について尋ねる質問票調査とインタビュー調査ととりまとめを行いました。二年目は、インタビュー調査の対象を支援者・協力者に広げて、調査結果を総合的に分析します。この分析を踏まえ、測定技術のノウハウを網羅した測定ガイドをまとめます。
2024年の中間報告から
3.11の原発震災後、日本各地にできた市民測定室で培われた放射能の測定技術と測定室運営のノウハウを次世代に継承できるように、『市民測定室を作る(仮題)』というガイドブックを作成するプロジェクトを進めています。その基礎になるのが、最多時は100カ所はあったと言われる市民放射能測定室を対象とした質問票調査とインタビュー調査です。調査では、各測定室が使用している測定器の機種、その調達の方法、測定した検体の種類、測定活動において直面した困難とその解決策等について明らかにします。
2024年7月までに84測定室に質問票を送付し42測定室から回答を得ました。さらにそのうち21測定室を対象にインタビューを行いました。今期はインタビューの追加調査を実施するともに、質問票とインタビューによる調査結果を集計し分析を進めています。これらの調査を行うことで、みんなのデータサイトとして、これまでに接触がなかった全国の市民測定室とのつながりが深まりました。訪問時にはそれぞれの測定室の悩みに直接触れ、基準玄米の貸し出しによる精度確認や、測定手法の相談に乗るなど、解決の手助けができたケースもありました。
今後は、まず2025年初頭に質問票調査結果を報告書としてとりまとめたものを公表の予定です(ウェブで一般公開)。さらに追加のインタビューも進めると同時に、ガイドブック『市民測定室を作る(仮題)』の執筆を進めます。