福島老朽原発を考える会(フクロウの会) |
研究成果発表会配布資料[pdf] |
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青木 一政 さん | ||
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50万円 |
福島県富岡町の地元住民と放射能を含んだ粉じんを捉えるためのリネンを張っている様子
8月26日大崎市での講演会の様子
飯山市長がバイオマス発電計画撤回(2018年12月21日記事)
2017年12月の助成申込書から
福島原発事故により発生した除染廃棄物、放射能を含む焼却灰、農林業系汚染廃棄物等、いわゆる放射性ごみの「リサイクル計画」ともいうべき事態が進んでいる。この計画の主要な施設として一般ごみ焼却炉、セシウム回収型焼却炉、木質バイオマス発電がある。
事故直後から、福島県を中心に広い範囲で放射能に汚染した一般ごみ、除染廃棄物等は一般焼却炉で焼却されている。また現在計画が進められているのがセシウム回収型焼却炉である。これは焼却炉で回収された、セシウム等の放射能を含む飛灰を、高温で熱処理してセシウムを気化させ回収するものである。この処理による生成物を建設資材に使うという計画である。また、電力固定価格買取制度の下で木質バイオマス発電が急増している。問題はこの木質バイオマス発電において、東日本の放射能汚染林の間伐材、木材などを燃料につかう動きがあることである。
これらの設備の飛灰回収には共通してバグフィルターが使用されている。しかし、バグフィルターはPM2.5(微小粒子状物質)の捕捉能力は無く、微小粒子状飛灰の拡散による環境汚染が懸念される。
これらのような放射性ごみ「リサイクル計画」の全体像、設備能力面での実態調査と問題点の抽出、周辺環境汚染監視を行う。
2018年10月の中間報告から
福島原発事故による除染廃棄物、焼却灰、農林業系汚染廃棄物等、いわゆる放射性ごみの焼却による「リサイクル」=ばらまきともいえる事態が進んでいます。一般ごみ焼却炉、木質バイオマス発電施設などからの放射能を含む微小粒子の拡散が健康影響、環境汚染の危険性を高めています。各地の住民の動きと連携して、その運動に資するための活動を行っています。
(1)木質バイオマス発電所周辺でのリネン吸着法による大気中粉じん等の放射能汚染監視
・新潟県三条市では既に稼働中の木質バイオマス発電施設周辺での監視を継続中です。
・福島県田村市大越町のバイオマス発電予定地では、現状実態調査を進めています。
(2)講演会、学習会などによる啓発宣伝活動
・長野県飯山市ではバイオマス発電計画に反対する住民の要望に応え、講演会を3回行いました。対象者を拡大しながら反対の声を大きなものにしています。
・宮城県栗原市、石巻市、涌谷町などでは農林業系汚染廃棄物の試験焼却を中止させるために学習講演会を実施、反対の世論を広げています。
(3)放射能ごみばらまきの問題点、危険性についての調査研究
・木質バイオマス発電について専門家を招いての公開セミナーなどを通じて情報収集、研究を進めています。
・関連学会参加、文献調査などを通じてその問題点、危険性についての情報収集、研究を進めています。これらの成果は講演会などで随時アップデートしています。
なお、当初の見込みでは文献調査、研究、汚染状況調査が中心になると考えていましたが、講演依頼が予想以上に多く、また地域的にも長野県、宮城県など福島県以外の地域からの問い合わせが多いです。放射能ごみのばらまきの問題が広範囲の地域で問題を引き起こしている現実を反映していると思われます。
完了報告・研究成果発表会資料より
福島原発事故により生じた除染廃棄物や放射能汚染ごみの焼却がすすめられています。木質バイオマス発電も放射能汚染木を燃料とすれば、放射能ごみ焼却と同じです。環境省は放射能ごみ焼却について「バグフィルターでセシウムは99.99% 回収できる」ので安全だと説明しています。しかしバグフィルターではPM2.5(微小粒子状物質)の捕捉能力は不十分で、放射能を含んだ微小粒子が周囲に拡散する懸念があります。
これらの設備周辺や建設予定地での環境汚染・健康被害防止のためにこのプロジェクトをスタートさせました。各地で放射能ごみ焼却に反対するグループと連携して、周辺環境の汚染調査や文献調査などで反対運動の論拠となる知見やデータを集めて、各地の運動に貢献しました。
長野県飯山市では木質バイオマス発電計画に対して燃料木材不足の可能性、汚染木焼却による放射能再拡散の危険性などを指摘して世論喚起を図りました。この結果、計画の白紙撤回を勝ち取ることに貢献できました。
宮城県大崎市では汚染稲わらなどの試験焼却にあたってリネン吸着法により大気中粉じんのセシウム濃度の監視を行いました。その結果、焼却炉からのセシウム粉じん漏れを示唆するデータを採取でき、地元住民による焼却差止仮処分申し立ての証拠書類として提出し貢献することができました。
福島県田村市では市が進める木質バイオマス発電計画に対する地元住民による反対運動を技術面から支援しています。
宮城県大崎市では、地元での反対運動にもかかわらず10月中旬より試験焼却が開始されたため、リネン吸着法による大気中粉塵調査を開始した。この調査の結果、焼却が行われている玉造クリーンセンターの風下地点でセシウムの値が高く、セシウムを含む粉じん漏れを示すデータが得られたと考えられる