Coastal Resource Centre | ||
Pooja Kumar さん | ||
http://www.theothermedia.in | ||
5,000US$ =約50万円 |
タミール・ナードゥ州の海岸線の風景
タミール・ナドゥ州の地図
2016年9月の申請書より
インド最南端東部にあるタミル・ナードゥ州沿岸は、マングローブの繁る河口部や砂浜と湿地帯が隣り合わせで存在し、豊かな生態系を織りなし、気象災害に対する緩衝地帯としても機能してきた。伝統的な小規模漁業者が数多く生活しているが、近年、工業開発とリゾート開発が進み、海岸線が変化した結果、これかで漁業者が共同で使用してきた土地が使えなくなるなど、影響が出ている。インド政府は、「沿岸規制区域CRZ通達2011」を導入し、漁業者による入会地使用権の保護について定め、違反を摘発・処分する組織が作られたものの、十分機能していない。非営利組織The Other Media内地域社会環境モニタリング:CEMプログラムの1プロジェクトであるCoastal Resource Centre「沿岸資源センター:CRCは今回、1.地域社会のマッピングによる漁業者の入会地に対する権利の文書化、2.GPS・GISアプリによる情報の記録と当局への報告、3.CRZ通達2011条項徹底のための、ワークショップやトレーニングによる地域社会の参加の促進、4.気象災害に対する柔軟性維持に役立っている入会地の重要性への理解を広げるための講演活動、5.不法な開発に対して沿岸部の生態系と入会地の保護を訴えている地元住民への支援を目的として、調査を行う予定です。
2017年12月の最終報告書より
インド・タミールナドゥ州沿岸の豊かな生態系を織りなす沿岸で、近年、違法な商業開発が増加し、そこで暮らす人々(主に漁民)の生活に影響が出てきたことから、インド政府は漁業者による入会権を保護しようと、沿岸規制区域(CRZ)通達2011を導入しましたが、十分機能してきませんでした。そこで、本調査では、不法な開発に対して地域社会自体が沿岸部の生態系と入会地の保護に対して行動を起こせるよう支援してきました。
今回の調査では、主に、情報の記録と当局へ報告用のGPS搭載のスマートフォン用マッピングアプリの開発、CRZ通達2011徹底のための地元住民への研修機会の提供に力を入れました。前者のアプリ開発にあたっては、アンドロイド技術者との協力の元、フィールドテストを重ね、グーグルマップと連動させて位置情報を確認でき、グーグルドライブとの同期、データベース化が可能となったパイロット版がリリースされました※1。後者の研修機会については、昨年は15箇所の漁村で実施し、そのアウトプットとなるマップは政府の沿岸管理計画を担当する関連局に提出した結果、今後の同計画の策定に反映されることになりました。
タミールナドゥ州には600もの漁村があるうち、私たちの取り組みでカバーできたのはリソースの限界もあり、40-50村しかありません。CZMPを適格に施行してこそ、漁民の生活を守ることができると考え、政府にも同様の動きをしてもらえるよう働きかけつつ、私たち市民サイドからも引き続き取り組んでいきたいと思っています。